話題の広場

朝日新聞 「窓」欄から
「大丈夫 君も」

 窓の向こうに高いフェンスが立ちはだかる。外の世界で見えるのは、林と空だけだ。地方のある少年院。トイレ付きの三畳一間の個室で丸刈りの子供達が鉛筆を手に原稿用紙に向かっていた。

 法務教官の男性が廊下から小窓を覗いて見守る。30代でこの仕事に就き5年目を迎えた。作文のテーマは「償いとは何か」。教官は自分の机に戻り回収した一枚づつに目を通した。「親に弁償してもらう」「ちゃんとあやまる」 まだこの子には難しかったかな。

 一人ひとりに感想を書いて行くと赤いボールペンは3週間もすればインクが無くなる。償いは一朝一夕で終わりません。謝ったからと言って社会への償いは終わりではないのです。

読売新聞  6月4日
「希少動物の卵巣バンク整備」

 凍結保存し人工授精目指す、京都大野生動物研究センター 藤原さん

 絶滅が心配される動物を次世代に残して行くために京都大野生動物研究センターは、動物園や水族館で命を終えた希少動物の卵巣を凍結保存する「卵巣バンク」の整備を進めている。卵巣を保存する取り組みは世界的にも珍しい。同センターで研究する藤原摩耶子日本学術振興会特別研究員(36)に種の保全にかける思いを聞いた。  

毎日新聞 6月28日付け
コラム 炉辺の風おと 梨木香歩 作家
「らしさ個性は消えない」

 木々に囲まれた公園の、その続きのような集合住宅の、二階に住んでいた頃の、ある初夏の日のこと。奥の部屋で仕事をしていたら、何やら消え入りそうに細い、けれどさんざめく様に明るくもある、複数の鳥の声が聞こえた。あ、雛だ。ピンときて、慌てて窓の外を見ると、緑陰に見え隠れして、水平に伸びた枝の上にシジュウカラの雛が数羽、おぼつかない足取りで必死に枝に摑まっている。

ちいき新聞 6月19日号より
電気を使わない蓄音機の魅力
「市川で鳴る!蓄音機 てこな音盤倶楽部」

 蓄音機やステレオ機材を使ってレコードの魅力を多くの人に発信する活動を続けている「てこな音盤倶楽部」。レコードの音色に触れる人の反応は、新鮮な驚きに満ちているという。

 古くて新しい感動 蓄音機の魅力広げて

 てこな音盤倶楽部は、蓄音機やレコード機器を使ってレコードの魅力を多くの人に広げるボランティア活動を、2017年から続けている。蓄音機は電気を使わずにレコードを再生する機械。往時に聴かれていた音がそのまま再現されるため、どことなく懐かしい響きに感じられる。